トルコギキョウ生産部会/東京・自由が丘販売促進活動
JAふくしま未来 トルコギキョウ生産部会
東京・自由が丘 販売促進活動
日時:平成28年(2016年)7月9日(土)12:00~16:00
会場:モンソーフルール 自由が丘本店
 
 福島県南相馬市の「JAそうま」(平成28年度より「JAふくしま未来 そうま地区本部」)では、東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故によって水稲の作付けが中断されたり、風評被害に晒されるなどしてダメージを受けた相双地方(福島県太平洋沿岸地方=浜通り地方)の農業に風評被害を受けにくい花卉栽培を導入することで、地域農業を再生させようという取り組みを続けている。
 震災以前より山間部の飯舘村で栽培され、村の主要作物として知られていた「トルコギキョウ」の栽培技術を南相馬市に移植し、被災地における農業再生への取り組みを広く知らせるとともに、相馬地方で育てられたトルコギキョウをブランドとして育成しようというチャレンジである。
 平成27年(2015年)春には、当時の「JAそうま」内に「トルコギキョウ生産部会」を設立し、「咲かそうそうま。トルコギキョウ魅力アッププロジェクト」がスタートした。また、同プロジェクトへの「復興応援 キリン絆プロジェクト」の助成のもと、生産者たちは、トルコギキョウを相馬の大地に根付かせ、他地区に負けない花色を咲かせようと努力を続けてきた。
 
 水やりや追肥のタイミング、開花期の芽欠き(花の数と高さを揃える技術)の徹底、温度管理、そして栽培先進地である長野県や長崎県への視察研修旅行など、ブランド育成に大切な地域としての品質と規格の統一、技術や情報の共有も行われてきた。
 そして生産部会設立から1年で、市場関係者からは「ボリュームが出てきた」という高い評価が得られるまでになった。
 平成28年(2016年)7月9日、生産部会のメンバーとJAふくしま未来のスタッフからなる11名は、東京・自由が丘にあるフラワーショップ「モンソーフルール」の店頭で、南相馬産トルコギキョウの販売促進イベントを実施。この日、南相馬から東京に運ばれたトルコギキョウは8種類で240束(480本)。白や紫、ピンクなどの花を付けたトルコギキョウが並べられ、スタッフたちは「福島県南相馬市で育ったトルコギキョウです」「丹精込めて育てています」と道行く人にアピールした。また、花を購入してくれたお客様には、併せて南相馬市産の福島県オリジナル米「天のつぶ」(300g)をプレゼントした。
 ブランド力の育成と強化には、産地名を知ってもらうことが大切だ。あいにくの梅雨空だったが、生産部会のメンバーとJAのスタッフたちは、道行く人たちに積極的に声を掛け、自分たちが手塩に掛けて育て上げてきた自慢のトルコギキョウをPRした。
 
 立ち止まった人たちからも、
 「きれい」
 「これ、トルコギキョウっていうの?」
 「お家の中、どこに飾っても似合いそう」
 「赤色の小さいつぼみって、バラみたいだね」と好評を得た。自由が丘もまた、どこか花の似合うやさしい街だ。お客様は、スタッフたちとひとしきり花談義を楽しんで、好みの色を、あるいは勧められた色の組み合わせを選び、買い上げてくださった。
 中には、「あたしも福島県出身です!ぜひ応援させてください」というお客様もいた。
 この日の販促活動は、午後3時までだったが、雨が止みそうな空を見上げながら午後4時まで時間を延長。3時半ごろには雨も上がり、厚かった雲にも少しずつ切れ間が広がり始めた。
 通りに咲いていた傘の花が閉じ、替わって店先のトルコギキョウたちがぽっと明るさを増す。さっきまで足もとばかりを見て歩いていた人たちに、やさしく花色をほほえみかける。
 トルコギキョウの花言葉は「希望」である。光が似合う「希望」の花が、元気な復興を願う福島の思いを添えて、東京の街角に咲いた。
 
《インタビュー点描》
川崎花卉園芸株式会社 第一事業部長 相嶋 学 様
(写真右)
 「モンソーフルール」というお店は、隣におります柴崎奨平の父が経営する花卉市場のグループ会社で、私の会社もその市場に所属しています。その市場へお花を出荷してくださっているのが、旧「JAそうま」さんです。そうしたご縁もあり、花について話し合う中で意気投合し、私たちの「モンソーフルール」という強力な販売部隊を通して相馬の元気を広く伝えましょうということで、きょうの販促活動に至りました。
 今回は、花だけではなく、相馬という地区も消費者の方にアピールする機会にしたい。トルコギキョウという花は、生産者の思い、仕立て、技術、資本力・・・が品質に顕著に出てきます。技術性が高いので何を目指すかによって出来不出来がありますが、相馬の皆さんは日々研究なさって良い花を育てられています。どこよりも努力している産地だと思います。
メゾン・ド・ヴェルディ株式会社 茅ヶ崎店マネージャー 柴崎 奨平 様(写真左)
 「モンソーフルール」は、花卉市場を経営する「メゾン・ド・ヴェルディ株式会社」の社長である私の父が「川下から川上まで」という一気通貫ビジネスを行いたいということで作りました。川上は生産者の方、川下は私たち小売り部門。そこを繋げたいというのが目標です。生産者の顔が見えるお花屋さんって、なかなかありません。生産者の方にも、消費者のニーズにあった花、求められるお花を作っていただく。そのための小売り部門です。プロダクトアウトではなくマーケットインのスタンスから消費者のリアルな声が生産地に返せます。大きい花が好まれるのか、一本にたくさん花がついているのが良いのか。合理的な栽培のための情報をお伝えできます。
 かしこまった時だけ花を買うのではなく、もっと日常に花を買っていただく。それが「モンソーフルール」のコンセプトです。自由が丘はそんな風にお花を買われる方も多い街です。きょうは雨が降り、お花を持ち帰っていただくには、あいにく不利な条件ですが、そんな街で、多くの方に南相馬のトルコギキョウを見ていただける機会を作った次第です。
《インタビュー点描》
JAふくしま未来 そうま地区本部 トルコギキョウ生産部会 部会長 堀 千夏子 様
 ことしは作り方を変えてみました。咲かせたいつぼみ、残したい花に栄養を集め、また高さにも差が出るように「芽欠き」を工夫しました。収穫後に花を残すのではなく、栽培しながら芽を欠いていきます。手間は増えますが、一本の枝の咲き方もきれいに揃いまし、花持ちもよくなりますね。
 こうした作り方は研修で学んできたことです。まだ皆で共有できているとは言えませんが、私はある品種についてはこの方法を試しています。やらなくても花は咲きます。でも、ブランドを目指すとき、部会としては、この方法を段階的にでも皆で試し、規格も統一したいですね。私の今年の目標は、まずチャレンジです(笑)。一本一本、丹精を込めて作って行きたいと思っています。
《インタビュー点描》
JAふくしま未来 そうま地区本部 トルコギキョウ生産部会 副部会長 二谷 純市 様
 きょうは、天気はもうひとつでしたが、反響が感じられました。この販促会、やってよかったです。私はこういう販売ってやったことがないので(笑)やり方は分かりませんが、都内の一等地にあるお店でやらせていただいたことはとても嬉しいです。
 生産部会でも意識が高まっていると感じられます。そして意欲も出てきています。私は単価を上げたいというテーマで取り組んでいます。また、お盆だから、冠婚葬祭だから高く売る・・・ではなく、普段の日から平均的に買っていただけるようにしていきたいです。本数にも波があるのではなく、平均的に売っていきたい。それには技術です。
 いい花を作っていきたい。いい花というのは、横にしてもだらけない、枝がしっかりした花です。そして技術の向上。あとは夫婦で同じ仕事ができているというのもいいですね。きれいな花を相手にする仕事ですので、ストレスは溜まりませんし、女房に話し掛ける声も優しくなれる・・・。そんな感じです(笑)。
《インタビュー点描》
JAふくしま未来 そうま地区本部 直販課 佐藤 康幸 様
(写真後列右から2人目)
 私は(2016年)3月までは生産部会の事務局長だったのですが、組織の再編等があって別の課へ異動となりましたが、でもプロジェクトを立ち上げた一人なので今もお手伝いという形で関わらせていただいています。
 プロジェクトではブランド力強化を中心に掲げ、まずは消費者の方に産地名を知っていただこうと考えました。ただ、栽培技術や商品としての仕立て方が、南相馬はちょっと古かった。でも先進地を視察するなどして、堀部会長がいち早く最新の栽培方法を採用し、今夏は出荷価格も量も増えています。これが導火線となって、部会としての品質や規格の統一がますます図れたらと考えます。そしてきょうのようなPR活動で、広く地名を知っていただき、市場で花を選ぶ卸の方にも、お店で購入される消費者の方にも南相馬の花は大きく咲いてきれいなんだ、と知っていただけたらと思います。
 また、通年栽培への取り組みとして、県が推奨するカンパニュラの作付けも増えつつあります。「復興応援 キリン絆プロジェクト」のご支援は、資金の援助もさることながら、生産者が一つにまとまる契機となった。皆の目標がハッキリした。これがいちばん大きかったですね。
2016.07.09「JAふくしま未来トルコギキョウ生産部会/東京・自由が丘販売促進活動」おわり

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