お客様と創る福島の食の魅力発信
農家直送定期便「ふくしまファーマーズ便」 お手軽ギフト「ふくしまそだち」
福島魁-プロジェクト成果報告会 ~お披露目会~
日時:平成28年(2016年)11月24日(水)13:00~14:45
会場:郡山市 ホテルハマツ 8階スカイバンケット
郡山市に初雪が降った平成28年(2016年)11月24日、郡山市の中心街にあるホテルハマツの8階、安達太良山を見晴らすスカイバンケットで、「福島魁-プロジェクト成果報告会~お披露目会~」が開催された。
福島魁-プロジェクトは、復興応援 キリン絆プロジェクトの一環である東北復興・農業復興トレーニングセンタープロジェクトで学んだ一期生と二期生が中心となって結成された福島県の農業者のチームである。
県内の6農家が地域の垣根を越え、協力し、連携しながら、売り場での実践や商品の開発と販売を通じて農家が成長する仕組みを創り出していくことを目標にスタートした。
ともに学びあい、知恵を出しあって、生産物をより魅力ある商品とすることで、福島の美味しさをより多くの人に伝える活動を続けている。
この日、行われたのは、(2016年)6月に復興応援 キリン絆プロジェクトの福島農業支援事業として助成が採択されて以来の活動についての成果報告会と、この間に開発されたお手軽ギフト「ふくしまそだち」、そして農家直送定期便「ふくしまファーマーズ便」のお披露目会と試食会だ。
「ふくしまそだち」は、農家それぞれの自慢の野菜を加工したニンジンドレッシングやトマトソース、リンゴジュースなどの6次化商品を詰め合わせたギフトパック。そして「ふくしまファーマーズ便」は、四季それぞれの生産物を組み合わせて年4回発売する予定の商品で、第一弾となる2016年冬便は、阿部農縁(須賀川市)の白菜と、ふるや農園(郡山市)の放牧豚を使った「ミルフィーユ鍋」だ。阿部農縁の「食べるタレ」、ワンダーファーム(いわき市)のトマトソース、伊達水密園(伊達市)の蜜紅玉リンゴジュース、古山果樹園のリンゴジュース、鈴木農園のニンジンドレッシングも併せて届けられる。
「福島の食で消費者とつながっていきたい」「福島の農業のファンを増やしたい」とメンバーたちは熱く語る。
福島県産食材の魅力とおいしさを発信する、その「さきがけ」となるべきプロジェクトが、元気に駆け出している。
《主催者挨拶》
福島魁-プロジェクト 代表 寺山 佐智子 様
きょうに至るまで、いろいろなことがありましたが、皆様のご協力をいただき、ここまでやってくることができました。私一人ではこの場に立っていることはなかったでしょうし、いろいろなご縁とつながりがあってこの場をいただいたことに感謝申し上げたいと思います。けさ、魁プロジェクトのはじまりのとき、私の背中を押してくれたキリンの CSV 本部の方から「小さいチャレンジを泥臭く積み上げ、一歩ずつ前へ進んできた皆さんに心から拍手いたします。きょうは思い切りやってください」というメールをいただきました。
その言葉通り、きょうは思い切りやらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
《来賓ご挨拶》
福島県農林水産部 食産業振興監 橋本 典男 様
東日本大震災から6年目に入っております。福島県の食べ物は大丈夫だよという話を前面に押し出してやってまいりました。そして新しいフェーズとして、福島の食べ物はおいしいよ、食べて幸せになれるよ、元気が出るよというアピールが大事になっているのだと感じています。
福島魁-プロジェクトの皆様が進めてこられたことは、県内の意欲ある生産者の素晴らしいお手本であり、まさにさきがけであり、いいことをどんどん進めているところを見て、後続の方々がそれを目指してついてくる。たいへん意義深く、敬意を表すところです。
きょうはまた、新しい取り組みとして、皆さんご自慢の野菜やくだもの、加工品をセットにして農家直送として販売されるという試みを、心強く感じています。
県としましても、皆様のチャレンジをできる限り支援させていただき、手を携えて、しっかり前へ進んでいきたいと思う次第です。
《モニター代表挨拶》
佐藤 とし子 様
福島魁-プロジェクトの商品開発モニターに参加させていただき、農家の皆様が明るく、楽しく、前向きに、作物づくりとプロジェクトの推進に取り組んでいらっしゃるのがとても印象的でした。
「ふくしまファーマーズ便」は、自分へのご褒美として購入したり、そして大事な人へプレゼントとして贈ったりしています。大切に育てられ、素材そのものの味がしっかりと感じられるおいしい野菜です。機会があれば、またぜひ参加させていただきたいと思っております。
《成果報告》
福島魁-プロジェクト 代表 寺山 佐智子 様
私たち福島魁-プロジェクトは、東北復興・農業トレーニングセンタープロジェクトの第一期生と二期生のうちの6名が集まりました。
私たちは、震災を受けて、自分たちは福島を愛する農家なのだということに気付かされました。野菜も果物もおいしい。福島を愛する仲間がいる。もっと福島を知ってほしい。もっと食べてほしい。そして次代に繋げていきたい。そんな思いが私たちにはあります。
2015年3月、イトーヨーカドー様から、催事として生産物を販売する実地の場をいただき、活動をスタートさせました。催事には6回参加し、初回はビギナーズラックでそこそこ売れました、でも2回目は全くダメ。でも、売るということの学びと責任を教わりました。
おいしいものはどこにでも溢れています。その中でどうやって選んでもらうのか。震災後の風評被害はピンチでした。でもそれをチャンスに変えようと、私たちは福島のイメージをマイナスにではなく、野菜をブランド化して、福島のプライドを大切な人に届けたいと考えるようになりました。
5つの想いがあります。福島の農業のファンをつくりたい。福島の農業を活性化させたい。生産者と消費者の距離を縮めたい。他の生産者のよいものを伝えたい。福島の農業を担う次世代のリーダーを育てたい。そして試行錯誤が始まりました。
会議はことし(2016年)の4月から45回、毎週のように行いました。さきがけるってどういうことなのか?お客様と繋がるとはどういうことなのか? 先進例を学んだり、また60名のお客様と繋がる形でモニター調査も進めてまいりました。「ふくしまファーマーズ便」のパッケージング、見た目、実際の味、利用されるシーンなど、地元の消費者の意見を伺いながら、交流もできたのです。
今回、報告させていただくのは「ふくしまファーマーズ便」とプチギフトの「ふくしまそだち」です。「ふくしまファーマーズ便」は年4回の発送を予定しています。きょうは冬便のご案内ということで、まずやってみようというもの。そしてモノを売るのではなく、旬を感じて集まっていただく季節ごとの集いの場をつくる商品です。シーンをお届けしたいのです。定期的に福島の味が届く楽しみ。お客様の喜ぶ顔が見たい、そんな一心で作りました。
冬便は、ふるや農園の豚肉と阿部農縁の白菜を使った「ミルフィーユ鍋」です。お客様に鍋を作っていただきますが、同梱する阿部農縁の「食べるタレ」と、ワンダーファームのトマトソースでアレンジしていただき、元の味と合わせて3種類の食べ方が楽しめます。
「ふくしまそだち」は、私たち6農家が作っている野菜の加工品の詰め合わせです。福島の味をいつでも手にとっていただいて、おみやげに選んでもらえたら幸いです。これもモニターの皆様の意見をいただき、どんなシーンで使ってもらえるかを考えました。大切な方へ福島からプチギフトという形でご利用いただけたらと思います。
《激励の言葉》
キリンビールマーケティング株式会社 福島支社長 橋本 岩男
私が初めて福島魁-プロジェクト様のギフトのお話を伺ったのは3月でした。開発に当たり、地元のモニターの方からご意見を伺っているということも聞かされておりました。地元の皆様の共感を得た商品ができたのだと思います。
生産者6人の強みを集めた商品です。おいしくないわけはありません。福島のおいしさが詰まった便を、地元の皆様、そして全国の皆様にお届けができますこと、我々も応援させていただきます。
当社でも、今夏(2016年)、福島の地元の方々のご意見を伺い、ご協力を賜りながら「福島づくり」というビールを発売しました。おみやげとしての需要が多く、福島から東京や大阪などへ出張に行く方、福島出身のお友だちに会いに行くという方にお買い上げいただけたのかなと思います。福島の思いを届けたいという地元愛、誇りが大きいのだと感じています。
来夏もまた、福島にこだわった商品を計画しています。「ふくしま ファーマーズ便」の夏便とのコラボレーションなども、またお話しさせていただけたらと思います。
《激励の言葉》
公益社団法人日本フィランソロピー協会 理事長 髙橋 陽子
福島魁-プロジェクトの5つの想いというものを聞かせていただきました。
福島の農業のファンをつくりたいというのは、並びとしては、これは実は最後なのかなと思います。福島の農業を担う次世代のリーダーを育てるという未来を見据え、そして足もとを見ながら本当においしいものを作って消費者との距離を縮め、それによって活性化していくことで福島の農業者を応援するファンが増えていくのかなと思います。外から見て、私はそう感じました。
風評被害に惑わされている人もたくさんいます。そんな人たちが風評の中から脱することができて、本当に福島の農業を、生産者を、農産物を愛してくれるために、これからが正念場です。福島を愛する心と、それを上から俯瞰できる冷静な気持ちの両方があって、愛する心が形となり、広く伝播していくのだと思っています。
小さなチャレンジを泥臭く積み上げて、でも、さきがけてがんばろうという皆さんのかっこよさ。かっこよく行きたいと思いながらも、葛藤や悩みや揺れ動く気持ちもある。だからこそもっと前へ、仲間と力を合わせようという日々の営みが、周りの人たちをも元気にしてくれるのだと思っています。
熱い思いと冷静な心と、広がっていく仲間の輪やネットワークで、もっとおいしい福島産野菜を私たちに届けてくださって、福島の元気が日本の元気のさきがけとなるよう、期待して応援しております。
《フォトセッション》
お客様と創る福島の食の魅力 発信
農家直送定期便「福島ファーマーズ便」 お手軽ギフト「ふくしまそだち」
福島魁-プロジェクト成果報告会 ~お披露目会~
日時:平成28年(2016年)11月24日(水)13:00~14:45
会場:郡山市 ホテルハマツ 8階スカイバンケット
《試食会》
成果報告会の後、会場では「ふくしまファーマーズ便」の第一弾となる冬便「ミルフィーユ鍋」の試食会が開催された。
旬の白菜を一枚ずつはがし、白菜と放牧豚の肉を交互に重ね合わせ、約5㎝角に切り、鍋のフチに沿って敷き詰める。そしてだし汁を入れて火にかけ、火が通ったらお好みの煮具合でいただく。
はじめはそのまま食べて、そのあと同梱された「食べるタレ」や「トマトソース」をつけて変化を楽しみ、最後は冷やご飯を入れてトマトソースで味を調えたトマトリゾット風の雑炊でしめる。
来場者は「おいしい!」「これが福島の味だよね」「そう。大地の味がする」「冬はやっぱり鍋だよ」「食べるタレを入れた味もおいしい」「今日は冷やご飯がないのが残念(笑)」「でも白菜にトマトソースをかけてもいいね!」と、福島魁-プロジェクトの6農家が集ったからこその、温かくてほっとできる旬の味覚に舌鼓を打った。
「ふくしまファーマーズ便 2016年冬」は、12月28日まで受け付けを行い、発送は年明けとなる。目標販売数は500セット。送料と税込みで6,980円だ。
《インタビュー点描》
福島県 農林水産部 食産業振興監 橋本 典男 様
福島県の農業生産者の皆さんは、どなたも愛情とプライドを持って取り組んでいらっしゃいます。そして、それを県内外の方々に味わっていただきたいと、さまざまな新商品やセットや食べ方の提案をされています。バリエーションもアイテムも増え、広がりを見せていることは非常に心強く感じています。
これまでは異なった生き方や取り組みをされてきた皆さんが、それぞれご自慢のところを持ち寄って、一つの力にして行こうとしている。担っている分野も作物も違うけれど、オール福島のさきがけとして、県も応援してまいります。
《インタビュー点描》
株式会社 concept-village 代表取締役/プロデューサー 馬場 大治 様
農家さんが集まると、やはりさまざまに調整を行う必要があります。どういった作物を組み合わせればおいしくなるのか、どんなアイデアがあるともっとお客様に伝わりやすい表現になるのか。そういったところをお手伝いです。「ものづくり」よりも「価値づくり」に携わらせていただいています。
これまで何十回も話し合いを重ねてきたものが、きょう、こうして一つの形になりました。きょうが終わりではなく、きょうからスタート。感慨深くもあり、でも、うかうかしていられないという気持ちもあります。
まずは、春夏秋冬それぞれの旬のおいしさをしっかりと届けられる仕組みづくりをしていくこと。そして、直売所やホテルやレストランなど、県内で人々が集まるハブとなる場所で「ふくしまファーマーズ便」「ふくしまそだち」を県外からお越しの方にも伝えていけたらと考えています。
あわせて、福島の皆さんにも地元にこんなにおいしい野菜があるのだということに誇りを感じていただき、生産者と消費者の地産地消の輪が大きく広がって行くことを願っています。
《インタビュー点描》
モニター代表 佐藤 とし子 様
リーダーの寺山さんのお誘いで「ふくしまそだち」のモニターに参加させていただきました。いろいろ試食もさせていただきましたが、どの野菜も果物も、素材の味がしっかりしていて、そのままのおいしさが出ているものばかりでした。いいものはいいって分かるんですよね。
どういう人に贈りたいかという話し合いを進めてきた中で、農家の皆さんが真剣に取り組んでいる情熱も感じましたし、私はやはり大切な人に届けたい、食べてもらいたいと思いました。大切な人って、今は遠くに住んでいる息子や孫たち(笑)。おいしいから食べてほしい。実家に帰ってきたときもおみやげに持たせたりしています。
あと、作っている人の顔が見えるということも大事です。「人と人との間には愛がある」ってマザー・テレサの言葉だけどね(笑)。人と人とが繋がると食べ物だっておいしくなりますから。
《インタビュー点描》
福島魁-プロジェクト 代表 寺山 佐智子 様
きょうはどうしてもホテルハマツで発表会をやりたかった(笑)。きょうは曇ってますが、ここから安達太良山が見晴らせるし、郡山の大地の大きさも感じられるんです。
学ばせていただき、実践の場もいただいたりしながら、やっとここまで来られた、そして、いよいよこれからだなという気持ちです。まず冬便です。春便以降も、いろいろ妄想だけはあるので(笑)、メンバーと話し合いながら決めていきたいと思います。6人のメンバーが作る農産品で四季のアレンジは可能です。旬の時期、いちばんおいしいものだけを組み合わせてお届けします。
風評被害があったからこそ、より責任を強く感じてお客様と向き合えているのかなと思います。福島は、四季が美しく、寒暖差も大きく、野菜でも果物でも甘く瑞々しく育ち、生産者はその味わいには絶対の自信を持っています。加工品もそんな素材の味を生かし、農家だからこそ思いついたり作れたりするものにこだわって、おいしいものをおいしく作り、愛情と誇りを込めて送り出すということを大切にしています。
2016.11.24「福島魁-プロジェクト成果報告会~お披露目会~」おわり