公益社団法人日本フィランソロピー協会
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定例セミナー
 
第232回
開催終了
環境経営における先進的企業の株式会社リコーでは、「森林生態系保全」を軸に世界中で様々なプロジェクトに取り組んでいます。その基本姿勢は、「長期的なコミットメント」、「現場の把握」、そして「コミュニティの自立」。今回のセミナーでは、同社とWWFとの協働事業であるマレーシアでのオランウータンの生息域回復プロジェクトに焦点を当てて、プロジェクトを担当されているリコーの岸和幸氏とWWFジャパンの粟野美佳子氏を講師にお招きし、企業とNGOのパートナーシップはどうあるべきかを皆さんとご一緒に考えます。
テーマ
グローバルに展開する企業とNGOの協働プロジェクト
~リコーとWWFジャパンの事例から~
日 時
2008年10月16日(木)15:00~17:00
※セミナー終了後、講師との懇親会がございます。
(希望者のみ、1時間ほどを予定)
講 師
岸 和幸(きし・かずゆき)氏
株式会社リコー
社会環境本部 環境コミュニケーション推進室
環境社会貢献担当
 
粟野 美佳子(あわの・みかこ)氏
財団法人世界自然保護基金ジャパン 法人グループ長
会 場
株式会社東芝 本社ビル39階 3912会議室
東京都港区芝浦1-1-1 東芝ビルディング
<最寄駅>
・JR山手線・京浜東北線「浜松町駅」南口より専用通路経由徒歩7分
・都営地下鉄 大江戸線・浅草線「大門駅」B2出口徒歩12分
・ゆりかもめ「日の出駅」徒歩10分
定 員
80名
参加費
一般:5,000円
会員:2,000円
学生:1,000円
※懇親会は、別途実費3,000円~4,000円の予定(希望者のみ)
お問合せ
社団法人日本フィランソロピー協会
担当:加勢川佐記子(かせがわ・さきこ)
こちら のフォームをご利用ください。
 
開催報告
講演要旨
今回は、2008年9月の「国際協力NGOによる協働企画プレゼンテーション・コンペ」の続編として、実際にパートナーシップを組んで海外でプロジェクトを推進している事例紹介を行いました。
 
岸和幸さん岸 和幸 氏
講演前半では、まず岸和幸氏からリコーグループの企業理念と、同社が全世界で推進する「森林生態系保全プロジェクト」について解説していただきました。社会的責任に対する経営トップのコミットメントが非常に重要であるということは良く言われますが、同社の取り組みがここまで徹底して実践されている裏側には、「生物多様性は人間社会が
粟野美佳子さん粟野 美佳子 氏
存続していく上で重要な基盤であり、『健全な生態系の持続』なくしては『生物多様性の保全』はありえない」という認識を強く持った組織の本気度と担当者の熱意があることが、お話から伺えました。尚、岸和幸氏の生態系保全に関する知識は、「企業の担当者の域を超えて、ほとんどNGOの専門家レベル」(粟野美佳子氏談)とのこと。
 
続いて粟野美佳子氏からは、なぜリコー社との協働プロジェクトがうまくいっているのか、その理由についてお話いただきました。 同氏が挙げた秘訣は、以下の2つです。
(1)評価の基軸がぶれない。 協働でのプロジェクトを企画する場合、企業の目的とNGO側の目的が一致するのが理想だが、そのようなケースは稀である。また、必ずしも一致しないと駄目なわけではない。この点、リコー社の場合は、プロジェクトの目的に「地域住民の生活安定」という視点を入れているため、取り組み姿勢が非常にNGOに近い。企業プロジェクトは「木を何本植えた」という量的評価にこだわる傾向が強いが、リコー社では「地域社会で持続的な生態系保全の枠組みがどのようにできているか」という質的評価を重んじているため、NGOとしても非常に協働しやすい。
(2)現場感を大事にする。本社からの指示に従ってプロジェクトを進める企業が多い中で、リコー社では現場の課題や判断を非常に重要視している。担当者自ら現場に足を運び、地元住民や自治体にヒヤリングを行なって評価をするため、NGOによる評価を鵜呑みにしない。そのため、プロジェクトの継続や次のステップに関する判断を的確に行なうことが可能となる。
 
ディスカッション後半のディスカッションでは、講師から「パートナーシップを組む上で重視しているのは、先方の担当者との信頼関係。こちらの意図をきちんと伝えていく姿勢も必要」(岸和幸氏)という助言や、「企業が社会貢献を行う際に、まず会社の目的や、どういう対外的評価が欲しいかを考えることが重要。そこがきちんとしていれば、それに合ったプロジェクトやパートナーが見えてくる。それが戦略的フィランソロピーということではないか」(粟野美佳子氏)という意見が出されました。参加者からは「理念が大事ということがよくわかった」、「具体的なヒントがもらえた」という感想が寄せられています。
定例セミナーとは・・・
8月の除く毎月、フィランソロピーに関心のある企業、個人、NPO・NGO、研究者などさまざまな方々にご参加いただいています。フィランソロピーに関する幅広い分野から毎回テーマを吟味し、楽しみながら社会貢献の理解促進・活動ノウハウを得る機会としていただいております。イベントや交流会では、講師・さまざまな参加者とのネットワークを広げることができ好評です。 みなさまお誘い合わせの上、奮ってご参加ください。
<2008年度 幹事企業ご紹介>
本セミナーは、当協会を事務局とした企業幹事制を採り、年間テーマに沿って幹事の皆さまに企画・運営をお手伝いいただいています。
 
三和ホールディングス株式会社
大同生命保険株式会社
日本アムウェイ合同会社